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セイコー特殊時計開発物語

 2009年2月18日発売




本書は、徳永幾男氏によるセイコー製特殊時計の開発史である。

陸の王者、海の王者、空の王者から、鉄道時計や盲人時計、特殊性能時計などなど。本書では、技術的な解説にエピソードを交えて、特殊時計の壮大な世界が武骨に、愚直に、そして時々ロマンチックに語られる。

世界のどの国も成し得なかったことを、日本の、かつて「山猿」と呼ばれた信州の技術者達が次々と実現してゆく。特殊時計という小さな製品を介して、モノづくりに対する彼らの姿勢が世界中の人々の共感を呼んだ。

「ダイバーズといえばセイコー」と言われるほどの圧倒的なブランド力。当サイトにも、世界中の何十もの国々からアクセスがある。ブランドの力学というものに関心がある管理人としては、本書の中で、当時の、つまり1970年代初頭のセイコーの技術者達はブランド構築について特に関心があったわけではなく、”別の”目標を一つ一つ達成していった結果のものだった、という箇所が大変面白い。

また、耐衝撃時計という商品市場が誰にも注目されなかった時代に、いちはやくその必要性を説き、アイデアから技術化、商品化まで最初に実現させたにもかかわらず、その後、マーケティング力などの差で市場も市場開拓者としての名誉も全て失ってしまったという、いわゆる”G−SHOCKブームの悲劇”について、当事者である著者自身が本書で初めてその悔恨の情をにじませたことは注目に値する。

「社会科学の壁」と言い換えてもよい。本書の端々に、著者が長年この「社会科学の壁」と格闘してきた痕跡が見受けられるのもまた興味深い話なのだが、それはともかく、著者がこの敗北の事例にふれたことは、技術者だけでなく、一般の人々にも分かりやすい教訓を一つ残した、という意味でおおいに評価できることだ。

「社会科学の壁」は、時に自然科学者の存在すら消し去る。それほど恐ろしいものなのだ。



そのような壁に挑戦し、阻まれ、乗り越えながら、おそらく50年後も、100年後も、若き技術者達は、本書を指し示して力強く言うだろう。
「産業の成長は技術者の成長。彼らは成長した。我々も成長する」

「科学技術創造立国」を国是とした20世紀という時代を駆け抜けていった技術者達。彼らを衝き動かしたものは、いったい何だったのか。彼らが持っていた強みとは。そして我々が解決すべき課題とは。読者はその答えのいくつかを、一時計会社の開発史から、いきいきとした姿で感じ取ることができるだろう。










目次

序章   特殊時計創造工学(はじめに)
特殊防水時計・特殊機能時計・特殊用途時計・特殊材質時計・特殊企画時計の新商品創造学

第一章  「陸の王者」進化論
T‐(1) フィールドマスター
T‐(2) ランドマスター
T‐(3) ランドマスターサミッター

第二章  「海の王者」進化論
U‐(1) プロフェッショナルダイバー
U‐(2) スキューバマスター
U‐(3) フィッシングマスター
U‐(4) クルージングマスター
U‐(5) マリンマスター

第三章  「空の王者」進化論
V‐(1) フライトコンピューター
V‐(2) スカイプロフェッショナル
V‐(3) フライトマスター

第四章  鉄道時計進化論
W‐(1) メカニカル鉄道時計
W‐(2) クオーツ鉄道時計
W‐(3) メモリアル鉄道時計

第五章  盲人時計進化論
X‐(1) メカニカル盲人時計
X‐(2) クオーツ盲人時計
X‐(3) 音声式時計

第六章  特殊性能時計開発物語
Y‐(1) 耐衝撃時計
Y‐(2) 耐磁時計
Y‐(3) スポーツ用強化防水時計

第七章  特殊機能時計開発物語
Z‐(1) 計算機付きウオッチ
Z‐(2) テレビ付きウオッチ
Z‐(3) レセプターウオッチ

第八章  特殊用途時計開発物語
[‐(1) ジウジアーロデザインウオッチ
[‐(2) 貴金属時計
[‐(3) 宝飾時計

第九章  特殊材質時計開発物語
\‐(1) ウッドウオッチ
\‐(2) 漆時計
\‐(3) チタンウオッチ
\‐(4) 超硬時計
\‐(5) セラミックスウオッチ

第十章  特殊時計のパテント
]‐(1) 特殊防水装置のパテント
]‐(2) 特殊機能装置のパテント
]‐(3) 意匠・デザインのパテント

未来章  特殊時計の未来学(おわりに)
二十一世紀の時計創造家・商品企画者・商品開発者へ贈るメッセージ
「あて名書き商品」創りの奥義 + 「創造家人生への道」



販売サイト(monoONLINE)へ
http://www.monomaga.net/wpp/shop/ProductDetail.aspx?sku=819970


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